健康にいいと注目を浴び、日本でも広く知られるようになったカスピ海ヨーグルト。これは、100歳を超える元気なお年寄りが多いため長寿地帯とも呼ばれている、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方で古くから食べられていたヨーグルトです。
カスピ海ヨーグルトの大きな特徴といえば、やはり独特な「とろみ」にあるといえるでしょう。そのとろみは、クレモリス菌が作っています。発酵の段階で乳糖から多糖が生成され、それが網目状構造をとってヨーグルトのタンパク質成分と絡まって独特の粘性と風味をもたらします。GCL1176株は、そのクレモリス菌の一株です。
クレモリス菌GCL1176株には、高い整腸作用があることが認められています。
25~38歳の成人に、GCL1176株で発酵させたヨーグルトを毎日100g、4週間摂取してもらい、毎日の排便回数や便の量を調査したところ、排便回数と便の量が増え、排便習慣が改善することが確認できました。
GCL1176株のその他の作用として顕著なのが、コレステロール低下作用です。
コレステロールが上がる原因には、外因性と内因性の2つが考えられます。外因性は、食事など体外から摂取したもので上がるケース。内因性は、体内の代謝バランスが崩れることによって血清コレステロール濃度が上がるケースです。GCL1176株はこの2つの原因ともに効果があることが分かっています。
マウスに高コレステロールの飼料を与えると、血清コレステロール濃度が著しく上昇します。このとき、飼料に5%のGCL1176株の粉末を加えると、血清コレステロール濃度の上昇は緩やかになります。つまり、GCL1176には、外因性のコレステロール上昇を抑える効果があることが認められるのです。
また、ガンによって体内の代謝バランスを崩しているマウスに、GCL1176株の粉末を加えた飼料を2週間与えてみると、与えなかったマウスに比べて、血清コレステロールの値が低くなっていることが分かりました。
GCL1176株は、中性ステロールや総胆汁酸の排出を促進することで、血清コレステロール濃度を低下させると考えられます。
さらに、GCL1176株が生成する多糖が、アレルギー症状を緩和することも実験で明らかにされています。
アレルギー症状を持つマウスにGCL1176株の生成した多糖を投与すると、与えなかったマウスに比べて、血液中のIgE抗体の濃度の上昇が抑えられます。
IgE抗体はアレルギー反応が起こる上で大変重要な働きをする抗体で、その濃度が高いほどアレルギー症状が出やすい傾向があるといわれるものです。
この結果、GCL1176株が作る多糖には、アレルギーの指標のひとつであるIgE抗体の濃度上昇を抑える作用があるといえます。